「これからの10年」へ思いを巡らせるインタビュー〜1期生〜
HKT48の活動10周年を記念した共同企画「HKT48×西日本新聞me 10th記念インタビュー」もついにラストです。最終回は、グループの誕生とともにその歴史を築いてきた1期生。長い時間を一緒に過ごし、数々の喜怒哀楽を経て「家族のような存在」と認め合う同期たち。これまでの歩み、後輩への思い、自分たちの将来-。ほぼ完全にフリーな状態で繰り広げられた座談会では、さまざまな“本音”が飛び出しました。西日本新聞meではインタビュー全文を公開します。※取材は11月10日、熊沢世莉奈はスケジュールの都合でアンケート参加。
-お互い年を重ねましたね。
村重「10年もあればキャラクターも変わるし。(下野に)なんか『抹茶キャラ』みたいなの、やっていなかったっけ?」
下野「キャラっていうか本当に好きだったけどね」
村重「『抹茶同盟』みたいなのがあったの、覚えている?」
下野「あったあった」
村重「(宮脇)咲良もいたし」
本村「咲良って何でも同盟に入っていたね(笑)」
今田「すぐ同盟を作っとったよね」
村重「メロンパン同盟とかでしょ?」
松岡「(キャラづくりに)必死だったんだろうね」
村重「(キャラの)取り合いだったからね」
本村「同じ事言えないからね」
熊沢「なんでしょうか…自分ではあまりキャラっていうものはなかった気がします。ただ、みんなでずーっとレッスンしていた時代に、元々ダンスを習っていたのもあって、レッスン着がすごく派手だったので「オシャレだった」とは今でも言われます(笑)。あと昔の方が大人っぽかったってよく言われます」
-21人もいたのが気づいたら6人。
本村「1人で10周年を迎えるのは寂しいから、良かった」
松岡「逆に、早い段階でみんながいなくなっていたら、自分もいられないよね。5年よりも前でみんながやめていたら、自分も不安になって卒業していたかもしれない。やっぱり同期って大きいよね」
熊沢「コンサートや周年公演のリハーサルなどをする度に、1人また1人と同期が減っていくので、悲しい気持ちはすごくあります。なんでこんなに多く残ったのかは正直分かりません(笑)。ただ、1期生って本当にみんなのことがすごく大好きで、なんでも話せる家族のような存在みたいなところがあるので、卒業して会えなくなるのが寂しい、ふざけ合う場所がなくなってしまうっていうのが強いのかなと思います」
下野「年数を重ねてきてからの1人の卒業ってでかくない?」
村重「でかい」
下野「(村重に)でかいのよ」
村重「お先に失礼します」
松岡「こういうのも無くなるんだよ」
村重「寂しくなるよね。楽屋に行かなくなるのが一番しんどい」
下野「自分でも寂しい?」
村重「村重がなんだかんだ一番寂しいよ。今日もカレンダーを見ながら『ああ…(卒業まで)もう一か月半もないわ…』とか思っていたもん」
本村「それはみんな思っているよ」
松岡「しかもさ、年末って早く感じるじゃん」
本村「バタバタしちゃうからね」
今田「一瞬だよね。周年からの年末まではもうあっという間」
松岡「今年、もう1回やりたいもんね。まどちゃん(森保まどか)の卒業コンサートから」
村重「やりたい。もりぽ(森保)からもう一回やらせてほしい」
本村「楽しかった、本当に」
今田「けっこう1期生でいる時間が長かったよね、そこからが」
村重「咲良ももりぽも(卒業)だったからさ」
熊沢「同時期に2人の卒業があったので、覚えごとも沢山あって大変ではあったけど、リハーサル期間、まどちゃんと咲良が楽しそうにしているので、後ろから2人の背中を見ていたらとても愛おしくなりました。咲良に関しては韓国で頑張っていたので2年間半会えない状態だったけど、戻ってきた時の咲良はHKT48にいる時と全く変わってなくてすごく安心しました。まどちゃんのスピーチに涙して、1期生楽曲で泣いている咲良を見てもらい泣きして、沢山涙を流した期間でした。みんな涙腺緩くなったなぁと感じました(笑)」
本村「思い出作りに必死だった(笑)」
-今年10周年だ、と意識したことは?
松岡「私は後輩の3期生が8周年っていうことを聞いて、自分たちの10年より後輩が年月を重ねていることのほうが…。自分たちにとって後輩はずっと子どもみたいな『妹ができた』みたいな感じだったから、そんなに長くいるんだ!っていうので私は逆に実感しました。『3期生って、こないだ入ってきたのに』って思っていた」
今田「(自分たちの加入期と)そんなに差が無いんだ、って思わない?」
村重「確かに2年くらいしか違わないよね」
-10年前に予想していた10周年とは違う。
松岡「さっしー(指原莉乃)とかが卒業して『みんなで頑張ろう』ってなっていたときのコロナ禍だったから、うまくいかなかった感はあります。やりたいこともできなかったし…。この前、なつみかん(田中菜津美)が劇場に来たんですけど、『この劇場を知らない』って言っていて。そんなに前?みたいな。外側から見ているのと違うんだろうなって。(グループの)中にいるから時間の経過が違うっていう。でもこうやって卒業したメンバーが来てくれるのは嬉しい。(村重に)来てね」
村重「分かった。すぐ来るわ。次の日くらいに」
下野「それはもうちょい空けてもらって」
村重「荷物とか取りに来る」
松岡「シゲいなくなったら5人じゃん。(卒業のときは)全員にちゃんと花とか持ってきてよ」
村重「毎回ゲストで呼んでくれるってこと?ぜんぜん来るよ」
松岡「この6人はさ、見送ろうよ。お互いを」
下野「そうしよう」
村重「待って、スケジュールとかあるじゃん。でもそうしよう」
本村「卒業なんて前から分かるわけじゃん。だからその日は空けておいて」
村重「村重はこのタイミングを逃してしまったら、多分自分が一番最後にならざるを得ないんだろうなって思ったのよ。でもみんなに絶対見送ってもらいたくて、ここだったの。絶対に今の1期はいてほしかったから。咲良がいなくなってからの1期生。だからもう、ダッシュだったよ」
下野「もっと前にさ、ちょっとやめようかなっていう感じはあったよね」
松岡「咲良もいなくなったしね」
村重「そう。咲良がいなくなったタイミングで『帰ってくるの待てないかも』って。東京ドームシティーホールで『思い出のほとんど』を歌ったじゃん」
松岡「自分たちの曲かのように歌っていたよね」
下野「でも今だったんだよ、多分」
村重「そうだよ。全部がうまく、そうなっていたんだよ」
-そこからの2年半、村重さんはすごかった。
本村「すごかったよ」
村重「記憶がないもん」
-それまでの7年半と、また密度が違ったのでは。
村重「確かに。でも基本ふざけていたよね」
本村「ふざけすぎて心配だったよ私は」
下野「あまりにも身を削りにいくから、大丈夫かなって」
村重「でも楽しかった。こんなに身を削ること、もうない」
下野「いや分かんないな、村重の仕事だったら分からない(笑)」
本村「削りそうだけどな(笑)」
今田「絶対に代わりはいないと思う。これから先も出てこないだろうなって」
村重「最近よく言われるの。『後継者って誰ですか?』って」
松岡「私たちも聞かれる」
村重「誰?」
本村「いない」
松岡「いないし、なれない。私だったらこうまでなりたくない(笑)」
本村「ここまで行かないくらいの感じで頑張りたい(笑)」
今田「私のお父さんも『村重さんの代わりはもうおらんやろう』って。『あんなに身を削れるのは村重しかおらん』って言っていた」
村重「美奈ちゃんのお父さんがそう言うならそうだわ」
松岡「昔は『あるあるYYテレビ』とかで…」
本村「芸人さんと同じような事をしていた(笑)」
松岡「それを今、4期や5期は経験していないから。『ほかみな』とかもあったしね」
本村「それがあって、開花することも多かったからね」
村重「冨吉(明日香)とかいたからさ。村重的には負けていられない、って感じだった」
松岡「あったんだ?」
村重「あった!」
松岡「へえ!意外かも」
村重「MCとか面白かったしさ」
今田「うまかったもんね」
村重「冨吉いるとMC安定するよなぁ、みたいな」
松岡「そういう機会が今ないかもね」
今田「競える場所もないし」
松岡「もしかしたらこのメンバーはバラエティで頑張れるかも、っていうのも分からないよね」
本村「可能性も見つけられない」
村重「だからといってさ、出ていこうっていうメンバーもいないじゃん。それが悲しいなって」
下野「もうちょっとね、『ここに行きたい!』みたいなのがあってもいいのかな」
本村「MCで頑張っていたもんね。さしこちゃんにどれだけ食いつけるか、とか」
下野「MCができるってすごく得だと思う。コンサートでもポジションが良くなくて歌で映像に映らなくても、しゃべれるだけで映るから」
松岡「大きいコンサートをしていて、後輩とかに『誰かしゃべりたいメンバーとかいる?』とか『こういうエピソードある?』とか、シゲに相談してでも『前に出たいから一緒に考えてください』って言うくらいのメンバーがいてもいいなと思うかな」
下野「最近は、村重がだんだん先輩をしている、と思っていた」
村重「そんなことあったっけ?」
下野「後輩を育てる方向に行ったし…」
松岡「私は、さっしー(指原莉乃)が卒業してからそう思った。今まで後輩に話すこともなかったし、思っても言わないタイプやったやん?穏便にっていうか。最近は一緒に引っ張ろうとしてくれているなって私は思う」
本村「(おととしの)九州ツアーぐらいから」
村重「なっちゃんとあおいと、ツアーを回ることが多かったじゃん。2人の負担が大きすぎて、何もしないわけにもいかなくなっちゃったっていうか」
松岡「初日が終わって幕が閉じて、ホッとして泣いちゃって。碧唯も泣いていて、横を見たらシゲも泣いていて。うれしかった。みんな同じ気持ちだったんだなって」
下野「人数が少なくなってから、『これがやりたいんだな』とか同期の様子をもっと見るようになったかもしれない」
松岡「分かるようになったよね。言わなくても。性格も知っているし、こう思っているのかなって分かる。もう出会えないよね、10年一緒にいた友達なんて。学校じゃまず出会えない。この先、例えば違う仕事をして出会ったとしても、10年ずっと一緒なんて」
本村「こんなに仲良くなれないと思う」
村重「無理」
松岡「距離の縮め方も分からんよね。うちらは毎日一緒にいたから、気を遣うも何もないから」
下野「これ以上には無理よ」
松岡「老後もみんなで一緒に住もう」
本村「卒業しても会おうね」
村重「うん、会おう」
下野「一軒家を建てよう」
松岡「幸せだろうな。もし自分が卒業してHKT48から離れて仕事をしても、死ぬときに絶対に思い出すなって思わない?濃すぎて」
今田「いろんな節目で思い出すと思う」
村重「自分が1人でいるときに思い出すのって、この10年の中の何か。自分の中の記憶って、この10年しかないんだよ。もう濃すぎて。結局自分が30代とか40代とかになっても、思い出すのはこの10年なんだろうなって思う」
松岡「卒業して外から見たら、絶対に違う気持ちがあると思う」
熊沢「どれも大切な思い出で学生生活でできなかった青春をHKT48の活動の中で過ごしてきたので一生忘れないし、誇れる10年だと思います。まだデビュー前なのに歌詞を覚えていなくてレッスン中に先生が帰ってしまった時代も、素敵な同期に出会えたことも、全部覚えてると思います」
-最初に加入してきたとき10周年を想像した?
下野「私は10周年いるなって思っていた。途中でちょっと変わってきたけど、入ったときは13歳。23歳って考えると、まだいるかもしれないと思っていた」
村重「ぜんぜん思っていない。18歳でやめるって思っていたから」
本村「私も高校卒業とともにやめると思っていた」
熊沢「全く想像してませんでした(笑)。この10年間、嬉しい・楽しい出来事よりも、悲しい・悔しい出来事の方が多くて何度も辞めてしまおうかと考えたことはあります。私自身、HKT48として何も出来ずに終わるのは嫌だという気持ちもあったのですが、1番はやっぱり同期の存在が大きかったです。今の1期生が居たから続けられたし、もちろん応援してくださるファンの方の存在があるからこそ10年という長い間アイドルを続けてこれたのかなと思います」
-10年後もいると思っていたのはすごいね。
松岡「想像もしていなかった」
本村「まだまだと思っていた」
村重「気づいたら10年たっていた」
松岡「自分の未来をしっかり描けていなかった」
下野「でも、節目節目で考えたよ」
村重「しなもんのすごいところは、ちゃんと大学行ったり高校を卒業したりしているじゃん。偉いなあって」
-卒業しようと思うタイミング。
松岡「本格的に考えるというよりは、嫌なことがあったときに『もうやめたい』とか思うことはけっこうある。初期のころあった?」
今田「初期のころはなかったかな」
下野「大学進学の前に1回悩んだ」
本村「私も高校卒業するときすごく悩んだ」
今田「高校卒業のタイミングは、メンバー全員考えるよ。高校3年生ってそれなりに大人だし」
下野「一番本気で考えたのはそこかな。それより前は確かに、嫌なことがあったら『もう無理だ』と思うぐらい」
松岡「選抜総選挙とかあったころが…始まりから本番終わるまで、ずっとつらい」
下野「すごいことをやっていたんだなって、あらためて思う」
本村「選挙を経験していないメンバーって5期生とか?」
村重「4期生は経験している」
-ドラフト3期も?
下野「ドラ3も経験していないか」
本村「嫌なこともあるけどさ、あった方が良かったんじゃないかなって思う」
松岡「グッと知名度を上げられるチャンスでもあるから…」
-そもそも最後の総選挙の後、1期生の多くが出ないと言っていた。
今田「もうみんな『最後です』って言って立候補していたね」
下野「毎年総選挙になるとファンの皆さんに応援してもらっているわけじゃん。それを10年くらいやっていると『すみません…!』ってなる」
松岡「でも、さっしーが『(グループに)いる限りは出た方がいい』って言っていたから、出た方がいいのかなっていうのもありました」
下野「難しいよね。出ないからってやる気がないわけじゃない」
-後輩との接し方。
今田「後輩とか見ていると、『そういう時期があるよね』って思っちゃう。同じメンバーなのに」
本村「親みたいな目線で見ちゃう」
下野「後輩の悩みとか、けっこう俯瞰(ふかん)で見ていない?」
松岡「頑張れって思うしかないよね。絶対そういうときもあるし、道が明るく開けるときも絶対くるから、頑張ってねっていう気持ちで見ちゃう」
今田「めっちゃ分かる」
-10年後もHKT48があってほしい。
本村&今田「あってほしいですね」
村重「あってほしいし、MV撮影とかで呼ばれたくない?バトン渡す役とか、手だけとかでいいから」
-いろいろ振り返ると、1期生は奇跡的な感じで時間が巡っているような気がする。
松岡「こんな感じ、想像していなかったよね。まずさっしーが来ること自体想像していないし。逆に考えると恐ろしいですもん。さっしーが来てなかったとして、あのままHKT48をゼロからつくって…」
本村「想像つかなくない?」
松岡「たまに東京に行ってAKB48さんに会うくらいだったから、どうやっていたんだろうって」
―HKT48はどんなグループか。
熊沢「みんな仲がいいです。そして、一人一人が相手を思いやれる心を持っていて優しい子が多いです。あとはみんないい意味で子供っぽさがあるので団結する時はとことん団結します!ふざける時は全力でふざけます!私はHKT48の一員でよかったなって毎回思ってます」
-ちょうど1周年のとき、村重さんと「HKT48はどういう色をつければいいのか」という話をした。
松岡「でも、色に関しては今も分からないかもしれない」
村重「一番、愛が深いグループなんじゃない?」
松岡「他のグループと比べるわけじゃなくて、自分たちのいいところを言うとしたら、やっぱり自分たちが自分たちのことを好きだからこそ、ファンの方もグループを好きになってくれるのがいいよね。誰か、だけじゃなくて。まずHKT48が好きで、この子が推しメンです、っていうのがグループにとってもファンにとってもいいことだと思う」
-シンプルに「好き」という気持ちで動いているグループじゃないかと思う。
松岡「モチベーション的にも大事だよね。自分たちのグループが楽しいっていうことが」
村重「じゃないと10年もいないよ」
取材協力:西日本新聞社 クロスメディア報道部 古川泰裕記者
インタビューの全文は西日本新聞meにて公開!
㊤https://www.nishinippon.co.jp/item/n/836552/
㊥https://www.nishinippon.co.jp/item/n/836554/
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